サービスレベルの定義


著者Simon Schalit、Joannes Vermorel、2014年3月推敲

商業や製造では、在庫サービスレベルは、「在庫切れにならない期待確率」つまり、売上を失わない確率だという事が出来ます。これはまた、顧客の要求に対してサービスを提供し、顧客を失望させない確率としても定義出来ます。100%のサービスレベル―すなわちすべての顧客に何時でも―が望ましく見えます、通常は可能な選択ではありません。

実際に、サービスレベルの概念は、将来の需要が「不確定」な状況のみに関連しており、それ以外の場合は、100%のサービスレベルを達成することは、単に、適切なスケジューリングの問題です。将来の需要が不確実な場合、在庫切れを防ぐ唯一の理論的な方法は、無限に在庫を持つ事です。従い、実際に、在庫マネージャは、不完全な在庫のトレードオフを解決しなければなりません。このトレードオフは、サービスレベルの概念を介して正確に測定出来ます。




金融トレードオフとしてのサービスレベル

小売業者やメーカーは、売上を最大化しつつ、できるだけ多くの顧客を満足させようとします。しかし、同時に、それに対する在庫を維持する事は、割高であり、リスキーでもあります:製品を購入または製造するのにお金がかかり、ストックしなければならず、賞味期限が切れ、時代遅れになり、などと続きます。 最終的に、在庫を持てば持つほど、コストとリスクが高くなります。ある時点までは価値があります。実際には、 在庫コントロールの主要な課題は、 コストとの正しいバランスの達成であり:在庫コストが、他の販売の利益を棒引きにしないように、売るには十分な量だが、出来るだけ多くの量を持たない事です。
ビジネスの観点から:サービスレベルは、在庫コストと在庫切れのコストとのトレードオフを表します。

高いサービスレベルでリターンの減少

ほとんどの小売部門では、特殊な分野かどうかに関わらず、95%を超えるような高いサービスレベルを目指すのが一般的です。特に、高いサービスレベルは、顧客のロイヤルティを高める上で重要な要素の一つです。

しかし、より高いサービスレベルを達成することは、リターンの減少 の古典的なケースでは、余分な在庫を持ち、少ないリターンに甘んじるといった追加の努力が行われており、つまり、少しの在庫切れをも起こさない努力です。下のグラフは、サービスレベルと在庫レベルとの関係を示しています。

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グラフに示されるように、ほとんどの小売業者にとって、「95%から97%にサービスレベルを増加させると、85%から87%増加させるよりもはるかに割高です」。実際には、一般的な小売店の店舗レベルで98%以上のサービスレベルを達成するような状況は殆ど見られません。

サービスレベルの最適化

サービスレベルは、機会費用と運用コスト間のトレードオフを表します。会社のリターンを最大化するためにサービスレベルを最適化することは、通常は複雑で、ドメイン固有のものです。アナリストは、検討する時間枠にこだわり過ぎるので、一般的に、問題をいっそう難しくします:在庫レベルを低くすると、余ったお金は直ちに使えるようになりますが、度重なる在庫切れのせいで顧客離れ(売上高)が生じなかった事が分かるには時間がかかります。

ある製品から次の製品へと、在庫切れの変化に敏感な顧客に合わせて、このような値の計算が可能であるなら、「最適な'サービスレベル」は、製品毎に特定され―各製品がそれぞれの最適値を持つ事になります。しかし、実際には、便利な近似値、すなわちヒューリスティックは、通常は問題の複雑さを低下させるために使用されます。

ヒューリスティック手法:ABC分析

広く知られている ABC 分析 メソッドは、小売業者やその顧客にとって、「収益をより多く生む製品は、より”重要”な製品として扱われるべき」という考えに基づいています。注目すべき例外はありますが―- この仮定は通常、妥当な結果を出し―それぞれの販売量に応じて、製品を分類する上で便利な方法を提供しています。各カテゴリに、それぞれ独自のサービスレベルが割り当てられます。

典型的なABCパーティションは以下のようになります:
  • 項目A、「トップ20%の製品」、「重要な少数」に分類:高いサービスレベル、例えば、96-98%
  • 項目B、「次のトップ20%の製品」、「中間クラス」に分類:並のサービスレベル、例えば、91-95%
  • 項目C、「残りの20-60%の製品」、「取るに足らない諸々」に分類:下位のサービスレベル、例えば、 85-90%

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もちろん、これらの数値は、市場/業界によって異なります。さらにカテゴリを増やす事も出来ます。

より高度で現実的なアプローチ:コスト分析

理論的には、個々の製品に最適なサービスレベルを見つける事は可能であり、ABC分析は、製品グループに適切なサービスレベルを設定することを示しています。しかし、これに使用されるメソッドの多くは、通常、極短または単純すぎる仮定、つまり、極短な間違い(例えば、売上分布が正しい)または非常に複雑な数学(実際の販売用リスク分布のインスタンスを使用)に基づいています。我々は、 サービスレベル最適化に関するページで、これらのメソッドの一つを文書化しています。

しかし、我々は、ビジネスの観点に基づいた、最適なサービスレベルを見つける為の、異なるアプローチ(より効率的なものを探して)が、長期的に考慮されるべきだと考えます。上記で、目標サービスレベルは、在庫コストと在庫切れコストとのトレードオフとして定義出来ると述べました。この結果、これらの費用の見積もりを得、コスト分析を介してサービスレベルの問題に取り組む事が出来るのです。問題は、言うは易し、行うは難しです。

一般的に言えば、「在庫コスト」は高額で、会計の観点から分離する事は難しいですが、しかし、それらを識別する事は出来ます:運転資金コスト、保管スペースのコスト、在庫ルーチン操作のコスト(積荷/荷卸し/格納/並び替え・・・)。これらの明確なコストの上に、特定製品の陳腐化コストの追加ができ、在庫コストは、腐って消滅します・・・より網羅的なリストとコストの見積りについては、 私たちの記事を参照して下さい。

在庫コスト は、全ての要因が違なる、とても複雑な問題です。最も明白な在庫切れコストは、もちろん、販売損失ですが、この要因は、大切ですが、単独で考慮する事は出来ないし、最重要でもありません。広範な研究(1)は、在庫切れは、顧客満足度の面では大きなリスクとなり、長い目で見れば、顧客基盤に深刻な浸食を起こしかねない事を示しています。

コストの見積りやコスト分析については、この記事の範囲を越えています。概略は理解されたと思いますが、より正確で必要な情報は、 ビジネスに関する具体的な検討で得る事ができます。

さらなる:サービスレベルの測定

サービスレベルは不可欠(当然だが)だと見なされており、ほとんどの小売業者は「死後」つまり、過去の週、月、年で顧客に行ったサービスレベルを知ろうとしており、「サービスレベルの測定」をしようとします。これにより、くつかの問題を引き起こします。

サービスレベルの(経験的に非常に使える)古典的定義を提供してきましたが、この定義が絶対的ではないことを理解する事が重要です。実際に、サービスレベルは全く異なる方法で理解する事が出来るのです。

これらの定義を、よく理解出来る例を見てみましょう:

店は、午前10時から午後8時まで休まずに開くと想像して下さい。 店を開けた時、店舗には製品Aの在庫が9個ありました。日中、製品Aを購入しようと二人の顧客が店に入り:最初のお客は午前11時に9個を購入しようとし、二番目の顧客は、午後4時に1個を購入しようとします。

この設定では、最初のクライアントは9個を購入する事が出来ますが、その為に、午前11時には在庫切れの店舗になります:
  • もし、サービスレベルが「製品個数に対する総需要の割合」を表すのであれば、実際に満たされており、その日のサービスレベルは、90%(10の需要の内、9個が販売)です。
  • サービスレベルが、実際に成立した「注文(/カート)に対する総需要の割合」を表わすなら、その日の、サービスレベルは50%(1クライアントは完全に満足したが、1クライアントは在庫なし)になります。それぞれの注文が1個だった場合、この定義は一つ前の数字と近似値になる事に気づいて下さい。
  • 最後に、サービスレベルが、「全時間に対する在庫切れになっていない状態の時間の割合」を表すのであれば、その日のサービスレベルは10%(10時間の開店時間の中で、開店後の1時間で在庫切れに)になります。もし売上が時間に均一に行われるなら、この定義は前回の結果と近似値になる事に気づいて下さい。

これらの各例は、サービスレベルの定義に対して、それぞれの観点を表しています。最初のものは、失われた販売に、二番目は顧客満足度に、三番目は事実を中心にとらえています。これは、サービスレベルを測定しようとする際に、最も重要な事は「正確に何を測定しようとするのかを定義する」ことだと示しています。

ほとんどの場合、従来の小売業者は、失われた売上を測定することを選ぼうとします。問題は、「失われた売上の測定」(注文または個数において)が「非常に困難」であるという事です。なぜなら、残念ながら、顧客は店の棚が空になっているのが分かっても、通常は、このようなインシデントの報告をしないからです。このような測定が唯一可能な状況は、顧客が、例えばeコマースで発注をし、その際に在庫切れの警告がないか、ともかく注文を余儀なくされている(非脱落型クライアント)のような希少な場合です。

「実際の売上と予想売上の比較」に基づくアプローチは、予測が完璧であるという、誤った定義である仮定に基づいており、大きな欠陥があります。このアプローチは、良くても、異常な販売を警告する程度で、信頼性の高いサービスレベルの指標を、実際に提供する機会を持ちません。

従い、最終的に、サービスレベルを測定する2通りのメソッドのみ残されています:伝統的な、非常にコストのかかる手動の調査員(空の棚を探す)を置くか、在庫データは正確で、販売パターンは多かれ少なかれよく分かっているという、非常に大胆(殆ど大間違い)な予測をするかです。

Lokadは見つけた:パッシブ対アクティブなサービスレベル

在庫の最適化に使う古典的な予測メソッドは、実際のサービスレベルを殆ど制御する事はありません。実際、 安全在庫 の計算で行った予測は、間違っており、サービスレベルの測定において、「理論的なサービスレベル」を実際に掴む事は出来ません。しかし、Lokadは、適切な方法論であるクォンタイル予測を使って実現しており、これこそが、必要なサービスレベルに確実に達成させる事を可能にします。

「設計された」サービスレベルを保証する在庫管理方法を採用する事で、多くのプロセスを簡素化し、サービスレベルの最適化をスタートさせる現実的な可能性を提供しています。

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