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在庫切れは、サービスを受けなかった顧客においてカスタマーロイヤルティーを失うことにより事業に損傷を付与するのみならず、過去の需要を観察する上でバイアスをもたらすことにもなります。在庫切れにより売上がゼロとなっても、需要がゼロであったことにはならないのです。Salescastにおいても、この問題の影響を受けないわけではありません。が、的確に利用することで、この問題に対して非常に
弾力的になれます。
従来型予測における在庫切れの影響
従来型の予測(中央値)の場合、将来の見通しは、将来の需要が実際上回る確率および下回る確率がともに50%となっています。在庫切れが観測された時には、一般に満たされない需要は考慮されないことから、過去の記録に
下振れバイアスがもたらされます。
結果として、過去のデータによって作られた予測は、下振れバイアスを持っており、よって、更なる在庫切れをもたらすことになります。
最も極端な場合、最低在庫水準が決められていない際、在庫補充プロセスは、在庫がないことから何ら売上が発生せず、よって新たに再発注がなされない状態である
在庫凍結状況に収束されることになりかねません。最悪なことに、この状況において、予測は100%正確なのです。予測はゼロであり、売上もゼロなのですから。
在庫切れデータ統合の欠点
在庫切れによってもたらされるバイアスを調整するためには、在庫切れを考慮しなければなりません。そのためには、過去(および現在)の在庫切れの詳細なる記録を収集することで対応ができます。妙案であると思われますが、この方法は実際に甚大なる努力が必要とされます。
- 企業の多くは在庫切れを正確には把握していません。若干の在庫切れデータだけでは十分ではなく、在庫切れのデータは需要予測を改善させるべく、広範囲に渡り、かつ正確でなければなりません。
- 在庫切れは(願わくば)比較的稀であり、通常多くの事業において10%以内の発生率です。結果として、在庫切れのしっかりとした統計的分析をする上に十分なデータを収集するには、著しい事業ボリュームが必要となるのです。
- 在庫切れの影響は複雑です。(入手できない商品に対して)代替品があれば、在庫切れは共食い現象の要因となります。また、顧客は需要を延期し、商品が出回り始めると、新たに需要の“うねり”の発生となります。
Lokadでは、在庫切れ分析に関し豊富な経験があり、
在庫切れ分析向けテクノロジーをデザインしています。その経験から、少なくとも100店舗数あるいは、同様の大きさの事業でなければ、過去の在庫切れの分析によって在庫切れバイアスの問題に取り組む努力の価値はないと言えます。
バイアスに対して抵抗力ある予測としてのクォンタイル
それに代わって、クォンタイル予測は在庫切れによりもたらされた多くのバイアスを軽減するために、遥かに効率が良く、
スリムな代替手段です。手短に言えば、クォンタイル予測は
本来的にバイアスのかかった予測として
再発注点を算出してきました。例えば、95%のサービスレベルにて算出されている再発注点は、95%の割合で予測が需要を丁度上回るようになっています(在庫切れの割合は5%のみ)。
クォンタイル予測は、
高いサービスレベル、つまり実際90%以上の水準に関わる時、従来型の予測に比べて非常に異なる動きを見せます。95%のクォンタイル予測を算出する際に、分析は需要の上位5%、最も極端な変動に焦点を当てます。在庫切れが過去に頻繁であり、売上高の最高5%でさえ“通常の”需要の一部に過ぎないということもあり得ると言えます。ただ実際には、一般には見られません。以下に頻繁な在庫切れがあったとしても、過去の最高の需要点は平均需要よりも高いことが一般です。
結果として、クォンタイル予測は在庫切れが多くのバイアスをもたらすことに対する悪循環に陥ることはほぼありません。逆に、バイアスに偏った予測は在庫切れの問題を悪化させることになります。お客様の大半にとって、クォンタイル予測はバイアスに対しての抵抗力に優れ、在庫切れの頻度を即削減し、
サービスレベルを管理下に戻すことで、好循環をもたらすことが分かっています。そうして、暫くすると、在庫切れの頻度はサービスレベルの目標として定義されるようになるのです。